二.「易経」の理論根拠
「易経」という学問体系は、古代中国人が宇宙自然を観察しながら、宇宙の運行の規律の理に従って、創られた膨大な学問体系である。
もっとも古い「易」の漢字は、「日」と「月」の文字で組み合わせた象形文字である。「易経」は古代中国人の素朴的な宇宙観を世に伝わった自然学である。
2300年前の尸子(しし)は宇宙について、「上下四方為宇、古往今来為宙」(上下四方の空間は宇といい、古往今来の時間は宙という)と定義した。
ということは、宇宙は時間と空間で構成していていって、時間の延長とともに、空間も無限に延長していく。この理論については、すでに現代天文学で証明されている。
「易経」は、大まかにいうと、「不易、変易、簡易」という三つの部分で構成している。
四季の変更、昼夜の交替、太陽系だけではなく、人間の裸眼で見える宇宙の中の諸星体間の運行などの変化は、宇宙自然の根本的な、永久不変の規則である。
この理について、「易経」では、「不易」という。
このような宇宙自然の永久不変の規律は、絶対に変化していないのではなく、時間とともに少しずつ変化いることも認識できる。
天体に数えきれない恒星と惑星は、それぞれの軌道に沿って、永遠に運動しているが、互いの星体間の様々な複雑な力学関係により、少しずつ変化ももたらしている。「易経」では、「変易」という。
「易経」はこのような宇宙の不変と変化の弁証関係を解け、その理に基づいて、いかに簡単かつ効率的に物事を解決する方法を見つけて、方法論としてまとめました。これは「易経」の「簡易」の理論である。
したがって、「易經」は、宇宙の生成と発展、運行の規律を研究して、この宇宙の不変の表象から、変化の規律に基づいて、物事を解決する方法を人間社会に取り入れた学問体系である。
風水、四柱推命、梅花心易、奇門遁甲などの占い術もすべてその理に基づいてできた予測学である。
前述べたように、「易経」は「不易、変易、簡易」という三つの部分で構成している。次に、この部分について、詳しく説明する。
「不易」とは、宇宙が誕生してから、今まで発展してきた150億年の中で形成された規律であり、宇宙のルールである。このルールに従えば繁盛する。
逆らうと、罰にあたるに違いない。但し、このルールは永久不変ではない。
「変易」というのは、変更、変革である。「易経」は変革を提唱し、人間社会を変革への応対を指導してくれる。「易経」は云う:「改命、吉」。要するに、時間の進化に従い、時代に合う変革が必要である。
「易」の文字は、容易、簡単の意味もある。
「易経」は最終的に、すべてのことを簡単化にし、いかに簡単かつ有効な方法を使って、物事を成功させることを指導してくれる。
「易経」は曰く:「匪夷所思」。
要するに、複雑なことは、その根本的な問題点を捉えれば、簡単に解けるということである。
「繋辞伝」は曰く:「六位時成、時乗六龍以御天」。
というのは、われわれは天地四方(六位、簡単に言えば、人力、財力など様々な資源)の資源をうまく利用すれば、成功の境に至ることができるという。
したがって、「易経」は単なる風水や占いの本ではない、宇宙の発展を語り、宇宙のルールを解明する哲学でもある。
注:尸子、本名は尸佼(しこう)(紀元前390年~330年)。中国春秋戦国時代の諸子百家の中の雑家(ざっか)の代表的な人物である。著書は『尸子』20編、現存2巻。尸佼の宇宙論は重要な説として、中国古典哲学に大きな影響を与えた。
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