易経入門

「易経」が提出した古代中国の法治思想 ③

第五十五卦「雷火豊」の「象伝」はこう語る:雷電皆至、豊。君子以折獄致刑。(翻訳: 雷と稲妻が重ねて来る、豊の象である。君子は豊卦から学び、訴訟を裁断し、刑罰を行う)。

ここでいう君子は、司法審判に司る大臣を指す。

君子は国の法律に基づいて、ある人に対し、罪の有無について審判する。

有罪の場合は、公正かつ雷霆手段で論罪し、判決を下す。

 豊卦の象から見ると、上卦は震卦、下卦は離卦。震卦は動で、ここでは審判を指す。

離卦は光明、法律条文を指す。

もし行政部門は司法部門の審判を干渉すると、司法部門は公正的立場ではなくなり、権力機関の腐敗になりつつあって、社会の公平は段々なくなる。

 雷火豊卦の上卦と下卦を上下の位置を変える(易経では雑卦という)と、火雷噬嗑卦になるので、立法権と司法権は、密接な関係を有することを語る。

 第五十六卦「火山旅」卦の「象伝」はこう語る:山上有火、旅。君子以明慎用刑而不留獄。(翻訳: 山の上に火がある、旅の象である。君子は旅卦から学び、明白的かつ謹慎して刑罰を行い、故意に権力を乱用し、裁判の執行を妨害してはいけない。

ただし、一旦判決を下すと、その判決に基づいて直ちに執行するべき)。

さらに行政権と司法権を分立し、互いに節介しないことを強調した。

火山旅卦の象を見ると、下卦は艮卦で止める、上卦は離卦で文明、明察で法網の象である。

離上艮下は「不留獄」の象である。留獄とは、故意に執行を伸ばし、さらに密室で不正操作をしたりすること。

司法裁判は公正でしないといけないので、行政などより妨害してはいけないことを強調する。

雷火豊卦と火山旅卦は互いに綜卦の関係である。

雷火豊卦は司法裁判権を語る。

法廷で裁判した後に、実際に刑を執行するのが火山旅の君子である。

「明慎用刑」、「明」は明白的、公正的である。慎は、慎重にする。

すべての判決は公開で、慎重にするべきと語る。

また、その判決に基づいて執行することも大事であることを語る。 

火山旅卦の上卦と下卦の位置を変えると、山火賁卦に変わる。

前述したように、山火賁卦は行政権を語る卦である。

火山旅卦は下した判決を公正的に実行する司法権を語る。

さらに司法権と行政権の関係を明白的に語る。

火山旅卦の上卦は離卦で、光明、公正、法律条文を指す象である。

すべての実行は太陽の下で、光明正大で事項するべきという。

離卦は下卦になると、光明は遮られ、不透明操作の恐れがあり、政府は腐敗になる根本的な要因になる。

© 2022 易海陽光

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