易経入門

「易経」が提出した古代中国の法治思想 ④

三.易経の赦過宥罪と執行猶予の仁愛思想

「易経」の第四十卦「雷水解」(らいすいかい)卦はこう語る、「君子以赦過宥罪」(君子は解卦の智慧を用いて、他人の過失や赦免し、犯した罪を寛大な気持ちで許す)。

卦名の「解」の本意は、庖丁で牛の頭を体から切り落とす意味で、判訣の意味である。ほかに解消、解決、和解の意味もある。

赦は、赦免、免除、過失などを追究しない。

過とは、ここでは過ちの意味であり、罪より程度が軽い過失を表す。

宥とは、宥(なだ)める、大目に見て許す意味である。ようするに、「過」は「罪」と違って、「厳重な結果にならないので、完全に許してもいいとの考えである。

君主は国を管理する際、民衆に対して、敦厚簡易な政策を作り、寛大仁徳の気持ちで民衆を管理することは、仁政(孟子・梁恵王上)という。

過失を犯した人に対し、なるべく赦免し、罪を犯した人に対し、罪の状況を酌量して刑罰を軽減する。

このようにすれば、社会環境を緩やかな環雰囲気を作って、民衆は安定した社会の中で生活、活動できるのだ。

このようにできないと、水山蹇のように、先に危険や困難を直面し、自分さらに国家や組織を大変な苦境に陥るようになる。(雷水解の反面は水山蹇である)

 「赦過宥罪」については、中国の周の時代に国家の礼法にはっきりと規定し、法律に関する思想を表した。

「周礼・司刺」に赦宥について、このような記載がある、「一宥曰不識、再宥曰過失、三宥曰遺忘。一赦曰幼弱、再赦曰老耄、三赦曰蠢愚」(犯罪した人に対し、判決を軽減する必要な三つのパターンがある。一つは間違えて殺人した罪、二は不意に殺人をした罪、三は相手を見えずに過失で殺人をした罪に対して寛大で量刑するべき。

三つのパターンの過失を許すべき。一は年少者で弱弱しい人、二は年よりの人、三は認知症がある人)。

このような思想は、国政だけではなく、会社経営にも通用するのだ。

従業員は何か過失をすると、すぐに解雇や懲戒処分をせず、まず冷静に判断し、相手はなぜかこのような過ちをしたのか?

何かの原因で苦しんでいるのかなどの原因を探して、適正な対応をするべき。

こうできると、人心をまとめることができて、会社をいいように発展できるのだ。

© 2022 易海陽光

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