易経入門

「易経」が提出した古代中国の法治思想 ①

一.概論

「易経」の六十四卦の内、六つの卦は、素朴的な古代中国の法治思想を語った。

第二十一卦「火雷噬嗑」(からいせこう)と第二十二卦「山火賁」(さんかひ)、第五十五卦「雷火豊」(らいかほ)卦と第五十六卦「火山旅」(かざんりょ)の四卦は三権分立に関する思想を表した。

第四十卦「雷水解」(らいすいかい)と第六十卦「風澤中孚」(ふうたくちゅうふ)のニ卦は、寛容な精神と人道的な立場から慎重に判決を下すべきと語った。

周知のように、三権分立は現代民衆主義の中に最も重要な構成であり、十八世紀にフランスの思想家であるモンテスキューより提出して、現代民衆国家の基本的な政治体制として存在してきた。

二千八百年以上前の「易経」はどのように三権分立の思想と執行猶予の考えを提出したのか?どのように論述したのかについて上記の六つの卦を見てみよう。

「易経」という本は、伏羲(ふっき)様の八卦、周文王(しゅうぶんおう)の六十四卦と卦辞(けじ)・爻辞(こうじ)、孔子様の「易伝」(えきでん)の三つの内容を合わせて、「易経」を構成したのだ。

中に「易伝」は、孔子様が長年「易経」を研究した成果を集大成として「易伝」という本にまとめ、「易経」の重要な構成部分となって、後世の易学研究に非常に貢献している。

また、「易伝」は「易経」に対する解釈だけではなく、儒家思想の最も重要な内容である。

「易伝」は、十の部分がある。中に六十四卦の卦辞と三百八十四爻の爻辞についての解釈は、「象伝」(しょうでん)という(卦辞に対する解釈は「大象伝」(だいしょうでん)、爻辞に対する解釈は「小象伝」(しょうしょうでん))。

「象伝」は卦と爻の象を解析し、儒家の社会倫理道徳を述べ、社会の各階層、統治者から一般庶民まで如何に自分の言行を正しく規範する教えである。

特に統治者に国家を治理するための思想やアドバイスを助言し、今でも積極的な意義がある。

易経の法的な思想は、上記の六つの卦の「象伝」に明白に述べている。

二.易経の三権分立の思想

 前述したように、「易経」の第二十一卦「火雷噬嗑」、第二十二卦「山火賁」、第五十五卦「雷火豊」卦と第五十六卦「火山旅」卦の「象伝」は三権分立の思想を表した。

第二十一卦「火雷噬嗑」の「象伝」はこう語る:雷電、噬嗑。先王以明罰敕法。

(易海陽光翻訳:雷電の合は、噬嗑卦の象である。先王は噬嗑卦から悟り、明白な法律を作り、国家を統治する。

勅とは、王様は命令を発布する意味。

明罰敕法とは、明確的に立法の重要性を語り、法律の公正と厳正を提出するという意味である。

古代国家においでは、王様は最高の地位を有し、最大の権利を有するので、法律を作って発布することは、王様しかできない。

したがって、「象伝」では「先王」と語った。

易経でいう「先王」は、国家を立ち上げた王様であり、最もの功業を作った初代の王様を指す。

ここでは、明白的に国家の法律は誰が作ったのか、立法権は誰が有することを明白的に説明した。

(つづき)

© 2022易海陽光

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