『易経』とその影響
『易経』は、中国の歴史上、最も広範かつ深い影響をもたらした書物です。古くから占筮(せんぜい)文化の特徴を色濃く備え、同時に実践的な知恵にも満ちています。数千年にわたる発展を経て、膨大な文化体系を形成し、中国哲学や思想の根幹をなす源泉となりました。
また、中国の伝統文化である儒教・道教・漢方医学・天文学・法家・兵法など、あらゆる学問は『易経』にその源流を持っています。そのため、『易経』は中華文化の源といわれています。『易経』を学ぶことで、『論語』『中庸』『黄帝内経』『孫子兵法』などの古典に対する理解も一層深まるでしょう。さらに、『易経』の六十四卦を学ぶことで、風水や易占いに対する理解もより深まります。
16世紀には、ポルトガルの宣教師アルバロ・デ・セメドによって西洋に紹介され、その後、英語やドイツ語など多くの言語に翻訳されました。これにより、西洋でも「易経」の研究が盛んに行われるようになりました。
しかし、日本では現在も『易経』といえば占筮や風水のイメージが強く、さらには迷信と考える人も少なくありません。これは非常に残念なことです。
日本易経協会は今、日本で『易経』文化を広めることに努めており、できる限りその真髄を多くの人に伝えたいと考えています。